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肥満外来

肥満外来について

金山駅前内科・胃と大腸内視鏡NiEWクリニックでは、肥満外来による投薬を自費診療にて行っております。治療の効果を適切に評価するため、また副作用の出現有無を評価するために定期的な診察や検査が必要となります。
一般的な肥満外来では、十分な健康チェックが行われず、お薬の処方が中心になるケースもありますが、当院ではそうした対応に留まりません。肥満に伴う様々な疾患の早期発見・早期治療も重視し、健康の改善を目指した診療を行っています。
治療は、「栄養と食生活の見直し」「運動を取り入れた生活習慣の改善」「薬物療法」を組み合わせて行います。糖尿病を併発している方については、保険診療の適用となる場合もございますので、詳しくはお問い合わせください。
なお、正常体型(BMIが25未満)で、生活習慣病などの基礎疾患がない場合、美容目的での薬剤処方には対応しておりません。また、お薬の処方だけに依存する治療は当院の方針とは異なるため、内容によっては処方をお断りする場合がございます。当院の肥満外来のコンセプトは、あくまで病気の予防に新たな選択肢をご提案することです。
肥満症に関連した疾患の増加は近年社会問題もなっており、なかなか生活習慣の改善に努めても効果が得られない場合が多いです。近年肥満症に対して国内で保険適応が通った薬剤もありますが、適応条件はより厳格であり、使用が一部施設に限定されます。肥満症患者様により多くの治療選択肢をご提案するための使用となりますので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

肥満と肥満症の違いについて

「肥満」とは、体内に脂肪が過剰に蓄積された状態を指し、BMI(体格指数)が25kg/m²以上である場合に該当します。BMIは、体重(kg)を身長(m)の2乗で割って算出される数値です。
一方の「肥満症」は、肥満が原因または関連して、なんらかの健康障害を引き起こしている状態を指します。これは、医学的に減量が必要とされる状態であり、単なる体重の問題に留まらず、治療介入の対象となります。
また、現時点で明らかな健康障害を認めない場合であっても、内臓脂肪の蓄積が確認されれば「肥満症」と診断されることがあります。

内臓脂肪型肥満の診断について

ウエスト周囲径の測定によって内臓脂肪の蓄積が疑われる場合、腹部CTなどの画像検査を行い、内臓脂肪面積が100cm²以上であることが確認されれば「内臓脂肪型肥満」と診断されます。

保険適用されるケース

肥満症は、一定の条件を満たす場合には健康保険が適用されます。
例えば、BMI(体格指数)が35以上の「高度肥満」と診断された方は、保険診療の対象となります。さらに、高度肥満でなくても、BMI27以上で2つ以上の健康障害がある場合も、健康保険が適用されます。
一方で、医学的な問題が認められない場合には、原則として保険は使えません。また、保険適応として薬剤を使用できるのは総合病院など一部施設に限定されます。

肥満度の分類

BMI(kg/m2) 判定 WHO基準
BMI:18.5未満 低体重 Underweight
BMI:18.5以上~25未満 普通体重 Normal range
BMI:25以上~30未満 肥満(1度) Pre-obese
BMI:30以上~35未満 肥満(2度) Obese-class Ⅰ
BMI:35以上~40未満 高度肥満(3度) Obese-class Ⅱ
BMI:40以上 高度肥満(4度) Obese-class Ⅲ

「※BMIが22kg/m²という数値は、統計的に最も病気の発症リスクが低いとされており、男女ともに「標準体重」の目安とされています。

肥満に関連する健康障害について

肥満であり、以下の①のいずれかの健康障害を合併している場合、「肥満症」と診断されます。これらの疾患は、減量によって予防や症状の解消が期待できます。

①肥満症の診断に必要とされる健康障害

  1. 高血圧
  2. 耐糖能障害(2型糖尿病、耐糖能異常など)
  3. 脂質異常症
  4. 高尿酸血症・痛風
  5. 冠動脈疾患
  6. 脳梗塞・一過性脳虚血発作
  7. 非アルコール性脂肪性肝疾患
  8. 月経異常・女性不妊
  9. 閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
  10. 運動器疾患(変形性関節症: 手指・膝・股関節、変形性脊椎症)
  11. 肥満に起因する腎臓病

②肥満症の診断基準には含まれないが、肥満との関連がある健康障害

  1. 悪性疾患:(食道腺がん・大腸がん・肝臓がん・膵臓がん・腎臓がん・乳がん・子宮体がん)
  2. 気管支喘息
  3. 胃食道逆流症
  4. 静脈血栓症・肺塞栓症
  5. 胆石症
  6. 皮膚疾患: 黒色表皮腫や摩擦疹など
  7. 男性不妊
  8. 精神疾患

肥満症診断の進め方

肥満症を診断する際には、まず二次性肥満でないかを確認することが重要です。二次性肥満とは単純な肥満(原発性肥満)ではなく、背景となる病気のため肥満になってしまっている状態です。背景にある疾患の治療が優先されるため、各種検査を行い、原発性肥満との鑑別を行います。

肥満症の治療について

肥満症の治療の中心となるのが、「食事・栄養管理」と「運動療法」です。これらの生活習慣改善を徹底しても十分な効果が得られない場合、肥満症治療用の食事指導の強化や、薬物療法、さらに必要に応じて外科的治療の導入が検討されます。
金山駅前内科・胃と大腸内視鏡NiEWクリニックでは、薬物療法としてGLP-1受容体作動薬を主に使用しています。

GLP-1受容体作動薬

GLP-1受容体作動薬は、インスリン分泌を促進して血糖値を下げるとともに、胃腸の運動を緩やかにし、食欲を抑える作用を持つ薬剤です。
個人差や投与量によって異なりますが、3〜6ヶ月の使用で5〜10kg程度の減量効果が期待できるとされています。海外では既に、肥満症の治療薬として広く使用されています。
副作用として、吐き気、胸やけ、下痢、便秘などの胃腸障害が起こる可能性があります。まれに低血糖や膵炎、胆のう炎・胆管炎などの副作用が出現する可能性があります。

当院での肥満外来の適応について

当院で薬物治療を行う方は、下記1,2のいずれかの方が対象です。

  1. BMI 30 以上
  2. (BMI 25以上もしくは内臓脂肪型肥満) かつ 肥満症11疾患のいずれかを合併する方

内臓脂肪肥満型

腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上

当院で治療をお受け頂けないケース

自費診療ではありますが、当院では健康障害のデメリットが勝ってしまう懸念から下記の方では治療を行うことができません。

  • 18歳未満の方
  • 当院での治療開始時点で75歳以上の方
  • 妊娠中、妊娠の可能性がある方、または授乳中の方
  • 摂食障害の方、当院の肥満症治療開始基準に合致しない方
  • 内分泌疾患あるいはステロイドなどの薬剤によって肥満になっている方
  • 他のGLP-1受容体作動薬またはインスリンを使用中の方、糖尿病をお持ちの方、重度の胃腸障害がある方
  • 過去に膵炎や腸閉塞が起きた経験がある方
  • 激しい運動や過度な飲酒、栄養不良などにより、低血糖のリスクが高い方
  • うつ病の診断を受けている方、自殺企図の既往がある方
  • その他、重篤な疾患で治療中の方や、医師が治療に適さないと判断した場合

*治療開始前には、同意書へのご署名をお願いしております。

当院で使用している主な治療薬について

リベルサス

リベルサス(Rybelsus)は、経口タイプのGLP-1受容体作動薬で、元々は2型糖尿病の治療薬として作られました。主成分はセマグルチド(Semaglutide)で、注射剤としては「オゼンピック」が同じ有効成分を含む薬剤として知られています。1日1回内服するだけなので、注射薬に抵抗がある方にオススメです。

マンジャロ

マンジャロは、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とGLP-1の2つの受容体に同時に作用する、世界初の持続型GIP/GLP-1受容体作動薬です。2型糖尿病の治療薬として位置付けられていますが、優れた体重減少効果があることも特徴です。 週1回の皮下注射で投与され、ペン型の使い切り注入器を使用するため、注射針の取り扱いや用量設定などは不要です。ボタンを押すだけで自動的に注射が完了するため、注射に不慣れな方でも簡単に使用できます。 GIPとGLP-1両方の受容体に作用することで、血糖値の改善とともに、高い減量効果が期待できます。

価格について

初診料(身体測定含む):3300円
初診時採血:4500円、2回目以降の継続採血:3,500円
薬剤料:リベルサス(30錠, 11,000円〜)、マンジャロ(2本, 12,000円〜)

リベルサス1ヶ月分(30錠)

容量 価格(税込)
3mg 11,000円
7mg 22,000円
14mg 29,000円

マンジャロ1ヶ月分(4本)

容量 価格(税込)
2.5mg 24,000円
5mg 32,000円
7.5mg 40,000円
10mg 48,000円

*マンジャロは2本単位での販売が可能です。

  • 初診時の診察および採血の結果により、治療が開始できないことがあります。薬物治療が何らかの理由で実施できない場合でも、初回時点に発生した費用の返却はできません。
  • 初診後以降の診察料は薬価に含まれます。何らかの理由で診察のみとなった場合、継続診察料として2,200円頂戴します。
  • 継続採血は開始後1ヶ月、薬剤あるいは用量変更後初回、以降半年毎のタイミングで基本的に実施します。そのほか、医師が必要と判断した場合にも採血を実施することがあります。
  • 治療を一時的に中断もしくは終了した際、前回治療終了時点から3ヶ月以上間隔が空いた場合、初診時扱いとなります。

注意事項についてのご案内

  • 当院の肥満外来は自由診療となり、健康保険の対象外です。
  • 薬剤の処方には、事前の診察が必須となります。
  • 各治療には副作用などのリスクが伴います。あらかじめ十分にご理解頂いた上でご受診ください。
  • 過去に薬品や化学物質でアレルギー反応を起こしたご経験のある方、妊娠中または授乳中の方は、治療をお受け頂けません。
  • 治療効果を実感するには、継続的な取り組みが重要です。処方された薬剤は、定められた用法・用量を守ってご使用ください。
  • 治療中には、副作用の有無を確認する目的で、定期的に血液検査を行います。

リベルサス

未承認医薬品等(異なる目的での使用) GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されています。肥満治療目的での処方は国内で承認されていません。
入手経路等 入手経路等 国内の医薬品卸業者より国内承認薬を経由して仕入れています。
国内の承認医薬品等の有無 GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドの注射製剤が、肥満症の治療薬として国内で承認されています。
諸外国における安全性等に係る情報 GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドの注射製剤がアメリカ食品医薬品局(FDA)で肥満症治療薬として承認されていますが、諸外国でも美容・痩身・ダイエット等を目的とした使用は承認されていないため重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
医薬品副作用被害救済制度について 万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

マンジャロ

未承認医薬品等(異なる目的での使用) マンジャロは、2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されています。肥満治療目的での処方は国内で承認されていません。
入手経路等 国内の医薬品卸業者を経由して国内承認薬を仕入れています。
国内の承認医薬品等の有無 マンジャロと同成分(チルゼパチド)が、肥満症の治療薬として国内で承認されています。
諸外国における安全性等に係る情報 同一成分がアメリカ食品医薬品局(FDA)で肥満症治療薬として承認されていますが、諸外国でも美容・痩身・ダイエット等を目的とした使用は承認されていないため重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
医薬品副作用被害救済制度について 万が一重篤な副作用が出た場合は、国の医薬品副作用被害救済制度の対象外となります。

参考

  1. 日本肥満学会. 肥満症診療ガイドライン 2022. ライフサイエンス出版, 2022
  2. Wilding JPH, et al. Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity. N Engl J Med 2021; 384: 989-1002. PMID: 33567185
  3. Mozaffarian D, et al. American College of Lifestyle Medicine (ACLM), American Society for Nutrition (ASN), Obesity Medicine Association (OMA), and The Obesity Society (TOS): Nutritional priorities to support GLP-1 therapy for obesity – A joint advisory. Obesty (Silver Spring 2025; 33(8): 1475-1503. PMID: 40445127